パキラの実生(みしょう)とは?種から育てる魅力を解説
実生とは?言葉の意味と種から育てること
「実生(みしょう)」とは、植物を種から育てることを指す言葉です。種子には、親株の遺伝情報が受け継がれており、同じ種類の植物であっても、実生で育てた場合は、一つひとつ異なる個性を持つのが特徴です。花の色や形、葉の模様、樹形などが、親株とは微妙に異なる場合があり、それが実生の面白さでもあります。また、種から育てることで、植物の成長過程を最初から観察できるのも、実生の大きな魅力です。小さな種から芽が出て、葉を広げ、幹を太くしていく様子を見守るのは、植物を育てる醍醐味の一つと言えるでしょう。
パキラの実生株の特徴:挿し木株との違い
成長の違い:実生はゆっくり、挿し木は早い
パキラの実生株と挿し木株の最も大きな違いの一つは、成長速度です。挿し木株は、親株の枝を切って増やすため、ある程度成長した状態から育て始めることになります。そのため、比較的早く大きく成長します。一方、実生株は、種から育てるため、成長はゆっくりです。じっくりと時間をかけて成長していく様子を観察できるのは、実生株ならではの楽しみです。
寿命の違い:実生の方が長寿命?
一般的に、実生株は挿し木株よりも寿命が長いと言われています。これは、実生株の方が、根がしっかりと発達し、環境の変化に対する適応能力が高いためと考えられています。ただし、パキラの場合、挿し木株でも適切な管理を行えば、長期間育てることができます。寿命の違いは、絶対的なものではなく、育て方によっても大きく左右されることを覚えておきましょう。
見た目の違い:根元(塊根部)の膨らみ
パキラの実生株と挿し木株は、見た目にも違いがあります。最も分かりやすいのは、根元(塊根部)の形状です。実生株は、根元が丸く膨らんでいることが多く、この部分は「塊根(かいこん)」または「コーデックス」と呼ばれます。塊根には、水分や栄養を蓄える役割があり、乾燥に強い性質を持っています。一方、挿し木株は、根元に塊根が形成されず、すらっとした幹をしているのが一般的です。この塊根の有無が、実生株と挿し木株を見分ける最も簡単なポイントです。
パキラの実生株のメリット・デメリット
パキラの実生株には以下のようなメリット、デメリットが考えられます。
メリット
- 種から育てる楽しさを味わえる
- 成長がゆっくりな分、長く生育を楽しめる。
- 根元に特徴的な塊根(コーデックス)を形成する。(観賞価値)
- 挿し木株に比べ、長寿命である傾向がある。
デメリット
- 種からの生育は時間がかかる。
- 種子からの発芽、その後の生育に手間と知識が必要となる場合がある。
- 種子や実生株の入手が挿し木株に比べ難しい場合がある。
パキラの「実生株」と「挿し木株」の見分け方
ポイントは根元(塊根部):膨らみの有無をチェック
パキラの実生株と挿し木株を見分ける最も確実な方法は、根元(塊根部)の形状をチェックすることです。実生株は、種から成長する過程で、根元に水分や栄養を蓄えるための「塊根(コーデックス)」と呼ばれる膨らんだ部分を形成します。この塊根は、丸みを帯びた形をしており、パキラの個性的な魅力を引き立てる要素の一つとなっています。一方、挿し木株は、枝を切って増やすため、根元に塊根は形成されません。幹が地面からそのまま伸びているような、すっきりとした見た目をしています。
葉の形や大きさでの見分けは可能?
パキラの葉の形や大きさは、実生株と挿し木株で明確な違いがあるわけではありません。どちらも、5~7枚の小葉が手のひらのように広がる掌状複葉(しょうじょうふくよう)をしています。葉の色やツヤ、大きさなどは、品種や生育環境、個体差によって異なるため、実生株と挿し木株を見分ける決定的な手がかりにはなりません。
接ぎ木の有無は関係ある?
パキラには、接ぎ木で増やされた株も存在します。接ぎ木とは、異なる2つの植物を接合して、1つの植物体として生育させる技術です。台木と呼ばれる植物に、別の植物(穂木)を接合します。パキラの場合、根の強い品種を台木にし、葉の美しい品種を穂木にすることがあります。接ぎ木されたパキラは、接合部分に痕跡が見られることがありますが、これは実生か挿し木かを見分けるポイントにはなりません。接ぎ木は、挿し木の一種と考えることができます。
札(ラベル)の表記を確認:「実生」の記載を探す
パキラを購入する際は、鉢に付いている札(ラベル)の表記を確認してみましょう。もし、そのパキラが種から育てられたものであれば、「実生」と記載されていることがあります。ただし、すべてのパキラに「実生」または「挿し木」の表記があるわけではありません。表記がない場合は、根元の形状をよく観察し、膨らみがあるかどうかで判断する必要があります。
パキラの実生株を入手する方法:種から育てる?購入する?
パキラの種を入手する
国内での入手は難しい?
パキラの実生株を入手する方法の一つは、種から育てることです。しかし、パキラは暖かい地域原産の植物であり、日本では屋外での開花・結実が難しいため、国内で種子を入手するのは容易ではありません。種子を入手できたとしても、発芽率が低かったり、発芽してもその後の生育が難しかったりする場合もあります。
種を入手する際の注意点
もし、パキラの種子を入手する場合は、以下の点に注意しましょう。
- 鮮度: 種子は、新しいものほど発芽率が高くなります。購入する際は、採取時期を確認し、できるだけ新しいものを選びましょう。
- 信頼できる販売元: 種子の品質は、販売元によって大きく異なります。信頼できる園芸店や種苗会社から購入するようにしましょう。
- 輸入種子: 海外から輸入された種子の場合、検疫の関係で消毒処理がされていることがあります。消毒処理は、発芽率を低下させる可能性があるため、注意が必要です。
パキラの種をまく:発芽させるコツ
種まきの時期
パキラの種まきは、気温が十分に高くなる5月から8月頃が適期です。発芽には、20℃以上の温度が必要になります。
種まきの手順
- 種子を一晩水に浸けて吸水させます。
- 清潔な用土(種まき用土や赤玉土小粒など)を用意します。
- 鉢や育苗ポットに用土を入れ、種子をまきます。種子の上に薄く土をかぶせます(覆土)。
- 土が乾かないように、霧吹きなどで水を与えます。
- 発芽までは、明るい日陰に置き、土の表面が乾いたら水やりをします。
発芽後の管理
パキラの種子は、順調にいけば1週間~1ヶ月程度で発芽します。発芽後は、日当たりの良い場所に移動させ、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。本葉が数枚出てきたら、生育の良い苗を選んで、鉢上げ(ポット上げ)します。
実生株を販売しているお店を探す
園芸店、観葉植物専門店
パキラの実生株は、種から育てるのが難しい場合や、すぐに観賞したい場合は、お店で購入するのがおすすめです。一般的な園芸店や観葉植物専門店で、実生株が販売されていることがあります。ただし、 必ず実生株が置いてあるとは限らないため、事前に電話などで確認してみると良いでしょう。
インターネット通販
近くのお店で実生株が見つからない場合は、インターネット通販を利用するのも一つの方法です。インターネット通販では、様々な種類のパキラが販売されており、実生株も比較的簡単に見つけることができます。ただし、通販で購入する場合は、写真や説明文をよく確認し、信頼できるショップを選ぶようにしましょう。また、輸送中に植物が傷む可能性もあるため、注意が必要です。
パキラの実生株の育て方:基本は挿し木株と同じ?
水やり:乾燥気味に管理
パキラの実生株の育て方は、基本的には挿し木株と同じです。水やりは、土の表面が乾いたらたっぷりと与えるのが基本です。特に実生株は根元に水分を蓄える性質があるため、乾燥には比較的強いです。水のやりすぎは根腐れの原因となるため、土の表面が乾いてから数日置いて水やりをするくらいでも問題ありません。特に冬場は生育が緩慢になるため、水やりは控えめにしましょう。
日当たり:明るい場所を好む
パキラは、日光を好む植物です。実生株、挿し木株に関わらず、年間を通して明るい場所に置くようにしましょう。ただし、真夏の直射日光は葉焼けの原因となるため、レースカーテン越しの光が当たる場所や、明るい日陰に置くのがおすすめです。日照不足になると、葉の色が悪くなったり、徒長したりする原因となるため、注意が必要です。
肥料:生育期に与える
肥料は、パキラの生育期である春から秋にかけて与えましょう。緩効性の固形肥料を2ヶ月に1回程度、または液体肥料を2週間に1回程度与えるのが目安です。肥料の与えすぎは、根を傷める原因となるため、注意が必要です。冬場は生育が緩慢になるため、肥料は必要ありません。
植え替え:適切な時期と方法
パキラは成長が早い植物なので、1~2年に1回程度、植え替えが必要になります。植え替えの時期は、生育期である5月から9月頃が適期です。植え替えの際は、根を傷つけないように注意しながら、古い土を落とし、一回り大きな鉢に新しい用土で植え替えます。用土は、水はけの良いものを選びましょう。
実生株ならではの注意点はある?
パキラの実生株は、挿し木株に比べて、特に育て方で注意すべき点はありません。基本的な育て方は同じですが、実生株は種から育てているため、個体差が大きいことがあります。成長の早さや、葉の形、幹の太さなどが、株によって異なる場合があります。それぞれの株の個性を楽しみながら、育てていくのが良いでしょう。また、実生株は根元が太く、特徴的な形をしているため、その形を活かした植え方や、鉢選びをするのもおすすめです。
まとめ:パキラの実生株、じっくり育てる楽しみを味わおう!
パキラの実生株は、種からじっくりと育てられた、個性豊かな植物です。挿し木株とは異なり、根元にふっくらとした塊根(コーデックス)を持つのが特徴で、その独特なフォルムは、観葉植物としての魅力を一層引き立てます。
実生株と挿し木株の最も分かりやすい見分け方は、根元の膨らみの有無です。購入する際は、根元をチェックしたり、札(ラベル)に「実生」の記載がないか確認したりしてみましょう。
実生株を入手する方法は、種から育てるか、お店で購入するかの2通りです。種から育てる場合は、時間と手間がかかりますが、成長過程を最初から楽しめるという醍醐味があります。お店で購入する場合は、手軽に実生株を手に入れることができますが、 確実に販売されているとは限りません。
パキラの実生株の育て方は、基本的には挿し木株と同じです。水やりは土の表面が乾いてからたっぷりと与え、日当たりの良い場所に置き、生育期には肥料を与えましょう。植え替えは1~2年に1回程度、生育期に行います。
実生株は、挿し木株に比べて成長がゆっくりですが、その分、長く生育を楽しめます。また、一つひとつ異なる個性を持っているため、自分だけの特別なパキラを育てたいという方におすすめです。ぜひ、パキラの実生株をじっくりと育てて、その成長過程とユニークな姿を楽しんでみてください。
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