観葉植物の空気清浄効果とは?仕組みと効果を解説
気のせいではない観葉植物の空気清浄効果!NASAの研究でも実証
観葉植物に空気清浄効果があることは、1980年代にNASA(アメリカ航空宇宙局)が行った研究によって科学的に証明されています。
この研究は、宇宙ステーション内の閉鎖された空間における空気汚染問題を解決するために行われました。
研究の結果、特定の観葉植物が、ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンといった有害物質を効果的に除去することが明らかになりました。
参考:NASA空気清浄研究(Wikipedia)
NASAの研究は、観葉植物の空気清浄能力を広く世に知らしめるきっかけとなり、その後、多くの研究機関や大学でも同様の研究が行われるようになりました。
これらの研究によって、観葉植物は私たちが生活する室内空間の空気をきれいにする効果があることが、ますます確かなものとなっています。
空気清浄効果の仕組み:有害物質の吸収・吸着
観葉植物が空気中の有害物質を除去する仕組みは、主に2つあります。
それが「吸収」と「吸着」です。
植物の呼吸と光合成
植物は、日中に光合成を行うことで、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。
このとき、葉の気孔から空気中の有害物質も一緒に吸収されます。
吸収された有害物質は、植物の体内で分解されたり、根から排出されたりします。
また、植物は夜間には呼吸を行い、酸素を吸収し、二酸化炭素を放出します。
この呼吸の過程でも、空気中の有害物質が吸収されると考えられています。
土壌中の微生物の働き
観葉植物の空気清浄効果には、植物そのものだけでなく、土壌中の微生物も大きく関わっています。
土壌中には、多種多様な微生物が生息しており、これらの微生物が空気中の有害物質を分解・無害化する働きをしています。
特に、根の周りに生息する微生物は、植物が吸収した有害物質を分解する上で重要な役割を果たしています。
つまり、観葉植物は植物自体の呼吸と光合成、そして土壌中の微生物の働きの2つの相乗効果によって、空気中の有害物質を効果的に除去しているのです。
観葉植物がもたらすその他のメリット(リラックス効果など)
観葉植物は、空気をきれいにするだけでなく、私たちの心身にさまざまな良い影響をもたらしてくれます。
まず、緑色は目に優しく、リラックス効果があると言われています。
観葉植物を部屋に置くことで、視覚的な癒やし効果が得られ、ストレス軽減や集中力アップにつながる可能性があります。
また、観葉植物は蒸散作用によって室内の湿度を調整する効果もあります。
特に乾燥しやすい冬場には、天然の加湿器として観葉植物を置くことがおすすめです。
適切な湿度は、風邪やインフルエンザの予防にもつながります。
さらに、観葉植物の中には、マイナスイオンを発生させるものもあります。
マイナスイオンは、空気中のチリやホコリを除去する効果や、リラックス効果があるとされています。
このように、観葉植物は空気清浄効果だけでなく、私たちの生活をより豊かに、より快適にしてくれる、さまざまなメリットをもたらしてくれるのです。
空気清浄効果が高い観葉植物の選び方
目的で選ぶ:除去したい有害物質の種類で選定
観葉植物を選ぶ際には、まず、どのような有害物質を除去したいのか、目的を明確にすることが大切です。
観葉植物の種類によって得意とする有害物質が異なるため、目的に合った植物を選ぶことで、より高い空気清浄効果を期待できます。
例えば、ホルムアルデヒドを除去したい場合は、サンスベリアやポトス、オリヅルランなどが効果的です。
ベンゼンを除去したい場合は、スパティフィラムやガーベラなどがおすすめです。
アンモニアを除去したい場合は、アレカヤシやカンノンチクなどが適しています。
これらの有害物質は、建材や家具、塗料、接着剤、タバコの煙、排気ガスなどに含まれており、頭痛、めまい、吐き気、アレルギーなどの原因となることがあります。
自分が特に気になる有害物質や、アレルギーの原因物質などを考慮して、適切な観葉植物を選びましょう。
複数の有害物質を除去したい場合には、異なる種類の観葉植物を組み合わせるのも効果的です。
育てやすさで選ぶ:日当たり、水やり頻度など
観葉植物を選ぶ際には、空気清浄効果だけでなく、育てやすさも重要なポイントです。
植物の生育には、日当たり、水やり、温度、湿度などが大きく影響します。
自分のライフスタイルや住環境に合った、育てやすい植物を選ぶことで、長く観葉植物を楽しむことができます。
例えば、日当たりの良い場所に置ける場合は、日光を好むサンスベリアやアロエなどがおすすめです。
一方、日当たりの悪い場所に置く場合は、耐陰性のあるポトスやアグラオネマなどが適しています。
また、水やりを頻繁に行うのが難しい場合は、乾燥に強いサボテンや多肉植物などが良いでしょう。
逆に、こまめに水やりができる場合は、湿度を好むアジアンタムやスパティフィラムなどがおすすめです。
観葉植物の育てやすさは、品種によって大きく異なります。
購入前に、それぞれの植物の特性をよく調べ、自分のライフスタイルや住環境に合ったものを選ぶようにしましょう。
サイズ・見た目で選ぶ:部屋の広さやインテリアに合わせて
観葉植物を選ぶ際には、部屋の広さやインテリアとの調和も考慮しましょう。
部屋の広さに比べて大きすぎる植物を置くと、圧迫感を与えてしまいます。
逆に、小さすぎる植物を置くと、存在感が薄れてしまいます。部屋の広さや天井の高さなどを考慮して、適切なサイズの植物を選びましょう。
また、観葉植物は、インテリアの一部としても重要な役割を果たします。
葉の形や色、樹形など、さまざまなバリエーションがありますので、自分の好みに合った、部屋の雰囲気に合うものを選びましょう。
例えば、モダンな雰囲気の部屋には、スタイリッシュなフォルムのサンスベリアやドラセナなどがよく合います。
ナチュラルな雰囲気の部屋には、優しい印象のポトスやアイビーなどがおすすめです。
和風の部屋には、盆栽風の仕立ての観葉植物や、竹のような雰囲気の植物も良いでしょう。
観葉植物は、生きたインテリアです。
サイズや見た目にもこだわり、部屋全体のバランスを考えて選ぶことで、よりおしゃれで快適な空間を演出することができます。
空気清浄効果が高い観葉植物の代表例10選
ホルムアルデヒド除去に効果的な観葉植物
サンスベリア
サンスベリアは、NASAの研究でも高い空気清浄効果が認められている代表的な観葉植物です。
特にホルムアルデヒドの除去能力に優れており、その他にも、ベンゼン、トリクロロエチレン、キシレンなどの有害物質を除去する効果があります。
乾燥に強く、丈夫で育てやすいことから、初心者にもおすすめの観葉植物です。
葉が肉厚で、多肉植物のように水分を蓄えることができるため、水やりは控えめで大丈夫です。
ポトス
ポトスも、サンスベリアと同様に、ホルムアルデヒド除去効果が高いことで知られています。また、育てやすく、つる性の性質を活かして、ハンギングバスケットや壁掛けなど、さまざまな飾り方ができるのも魅力です。ポトスは、日陰にも比較的強いため、日当たりの悪い場所でも育てることができます。ただし、直射日光に当てると葉焼けを起こすことがあるため、注意が必要です。
オリヅルラン
オリヅルランは、細長い葉が特徴的な観葉植物で、ランナーと呼ばれる茎を伸ばして子株を付ける姿がユニークです。ホルムアルデヒドの除去効果が高く、その他にも、一酸化炭素やキシレンなどを除去する効果があります。オリヅルランは、比較的寒さにも強く、丈夫で育てやすいことから、初心者にもおすすめの観葉植物です。
ベンゼン除去に効果的な観葉植物
スパティフィラム
スパティフィラムは、白い仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる花のような部分が特徴的な観葉植物です。ベンゼンの除去効果が高く、その他にも、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレン、アセトン、アルコールなどを除去する効果があります。スパティフィラムは、高温多湿を好み、直射日光を嫌うため、明るい日陰で管理するのがおすすめです。
ガーベラ
ガーベラは、鮮やかな花色が魅力的な植物ですが、実は空気清浄効果も高いことが知られています。特にベンゼンの除去効果に優れており、その他にも、トリクロロエチレンなどを除去する効果があります。ガーベラは、日当たりの良い場所を好み、水切れに注意が必要です。花を咲かせるためには、適切な肥料と温度管理が必要になります。
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アンモニア除去に効果的な観葉植物
アレカヤシ
アレカヤシは、南国風の雰囲気が魅力的なヤシの仲間です。アンモニアの除去効果が高く、その他にも、キシレン、トルエンなどを除去する効果があります。アレカヤシは、比較的寒さに弱いため、冬場は室内の暖かい場所に置くようにしましょう。また、乾燥にも弱いため、こまめな葉水が必要です。
カンノンチク
カンノンチクは、和風の趣がある観葉植物で、古くから日本で親しまれてきました。アンモニアの除去効果が高く、その他にも、トリクロロエチレン、キシレンなどを除去する効果があります。カンノンチクは、比較的寒さにも強く、丈夫で育てやすいことから、初心者にもおすすめの観葉植物です。
その他有害物質の除去や総合的な空気清浄効果が高い観葉植物
ドラセナ・マッサンゲアナ(幸福の木)
ドラセナ・マッサンゲアナは、「幸福の木」としても知られる人気の観葉植物です。ホルムアルデヒド、ベンゼン、トリクロロエチレンなど、さまざまな有害物質を除去する効果があり、総合的な空気清浄効果が高いとされています。ドラセナ・マッサンゲアナは、比較的乾燥に強く、育てやすいことから、初心者にもおすすめです。
フィカス・ベンジャミナ
フィカス・ベンジャミナは、光沢のある美しい葉が特徴的な観葉植物です。ホルムアルデヒド、キシレン、トルエンなどの有害物質を除去する効果があり、空気清浄効果が高いとされています。フィカス・ベンジャミナは、環境の変化に敏感で、葉を落としやすい性質がありますが、適切な管理をすれば、長く楽しむことができます。
アンスリウム
アンスリウムは、ハート形の美しい花(仏炎苞)が特徴的な観葉植物です。ホルムアルデヒド、キシレン、トルエン、アンモニアなど、さまざまな有害物質を除去する効果があり、空気清浄効果が高いとされています。アンスリウムは、高温多湿を好み、直射日光を嫌うため、明るい日陰で管理するのがおすすめです。
観葉植物の効果を最大限に引き出す育て方・置き方のコツ
適切な置き場所:日当たり、風通し、温度
観葉植物の空気清浄効果を最大限に引き出すためには、適切な場所に置くことが重要です。
まず、日当たりですが、多くの観葉植物は直射日光を避け、明るい日陰を好みます。
ただし、種類によっては、日光を好むものや、日陰に強いものもあるため、それぞれの植物の特性に合わせて置き場所を選ぶ必要があります。
一般的に、レースのカーテン越しの柔らかい光が当たる場所が理想的です。
次に、風通しですが、風通しが悪いと、病害虫が発生しやすくなったり、根腐れを起こしやすくなったりします。
窓を開けて換気をしたり、サーキュレーターなどを使って空気の流れを作ったりすると良いでしょう。
ただし、エアコンの風が直接当たる場所は、乾燥しやすく、植物にダメージを与える可能性があるため、避けるようにしましょう。
最後に、温度ですが、観葉植物の多くは、熱帯や亜熱帯地域原産であるため、寒さに弱い傾向があります。
冬場は、室内の暖かい場所に移動させ、10℃以上の温度を保つようにしましょう。
また、急激な温度変化も植物にストレスを与えるため、注意が必要です。
正しい水やり:種類に合わせた頻度と量
水やりは、観葉植物の生育に欠かせない要素ですが、与えすぎは根腐れの原因になります。
水やりの頻度と量は、植物の種類や季節、生育環境によって異なります。
一般的に、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えるのが基本ですが、乾燥を好む植物や、多湿を好む植物など、それぞれに適した水やり方法があります。
例えば、サンスベリアやサボテンなどの乾燥を好む植物は、土の表面が乾いてから数日経ってから水を与えるようにしましょう。
一方、アジアンタムやスパティフィラムなどの多湿を好む植物は、土の表面が乾ききる前に水を与えるようにします。
また、生育期である春から秋にかけては、水やりの頻度を増やし、休眠期である冬場は、水やりの頻度を減らすようにしましょう。
水やりの際は、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えるのがポイントです。
これにより、土の中の古い水や空気を押し出し、新鮮な水と酸素を根に供給することができます。
また、受け皿に溜まった水は、根腐れの原因になるため、必ず捨てるようにしましょう。
効果的な配置:複数置き、部屋の隅など
観葉植物の空気清浄効果を最大限に引き出すためには、置き場所だけでなく、配置にも工夫が必要です。
まず、1つの部屋に複数の観葉植物を置くことで、空気清浄効果を高めることができます。
異なる種類の観葉植物を組み合わせることで、さまざまな有害物質を除去する効果も期待できます。
また、部屋の隅や、空気の流れが悪い場所に観葉植物を置くのも効果的です。
これらの場所は、有害物質が溜まりやすい傾向があるため、観葉植物を置くことで、空気を効果的に浄化することができます。
ただし、風通しが悪すぎる場所は、病害虫の発生や根腐れの原因になるため、注意が必要です。
その他、人の出入りが多い場所や、パソコンなどの電子機器の近くに観葉植物を置くのもおすすめです。
これらの場所は、空気が汚れやすい傾向があるため、観葉植物を置くことで、空気をきれいに保つことができます。
定期的なお手入れ:葉の掃除、植え替え
観葉植物の空気清浄効果を維持するためには、定期的なお手入れが必要です。
まず、葉の掃除ですが、葉の表面にホコリが溜まると、光合成の効率が低下し、空気清浄効果も弱まってしまいます。
定期的に、濡れた布やティッシュペーパーなどで葉の表面を拭き、ホコリを取り除きましょう。葉水を行うことも、ホコリの除去と湿度を保つために効果的です。
次に、植え替えですが、観葉植物は、成長するにつれて、根が鉢の中でいっぱいになり、根詰まりを起こしてしまいます。
根詰まりを起こすと、生育が悪くなり、空気清浄効果も低下します。
1~2年に1回程度、生育期である春(5月~6月頃)に、一回り大きな鉢に植え替えるようにしましょう。
植え替えの際は、古い土を落とし、傷んだ根を取り除き、新しい用土を使用します。
その他、枯れた葉や枝を取り除く剪定や、肥料を与えることも、観葉植物を健康に保ち、空気清浄効果を維持するために大切なお手入れです。
まとめ:観葉植物で健康的で快適な空間を
今回は、観葉植物の空気清浄効果について、その仕組みや効果、空気清浄効果の高い観葉植物の選び方、代表的な観葉植物、そして効果を最大限に引き出す育て方・置き方のコツまで、幅広く解説しました。
観葉植物は、NASAの研究によって、空気中の有害物質を除去する効果が科学的に証明されています。
植物の呼吸や光合成、そして土壌中の微生物の働きによって、ホルムアルデヒド、ベンゼン、アンモニアなど、さまざまな有害物質を吸収・吸着し、空気をきれいにしてくれます。
さらに、リラックス効果や湿度調整効果など、空気清浄以外のメリットもたくさんあります。
観葉植物を生活に取り入れることで、室内の空気をきれいに保ち、健康的で快適な空間を作ることができるでしょう。
ぜひ、この記事を参考に、お気に入りの観葉植物を見つけて、緑のある暮らしを楽しんでみてください。